■所感
アクションに区切りをつけた松田優作氏が新境地を開いた本作。時は大正時代、謎の女(大楠道代)に翻弄される劇作家を演じています。物語は難解で解釈も十人十色。当時のファンの方々は衝撃を受けたのではないでしょうか。どこか自分の芝居を模索しているような優作氏の姿が見られます。70年代の優作氏は影も形もない…と書こうと思いましたが、個人的に「ああ、やっぱり優作氏だな」と思う箇所がひとつありました。それは作品冒頭、品子(大楠道代)が立っていたのと同じ場所に立っていたよくわからない女にかけた「おまえねえ、そういう言い方はないんじゃないの」というセリフ。その言い方がやっぱり70年代の優作氏でした。それにしてもお着物を召された大楠道代さんが何ともお美しい。和装の似合う女性って素敵ですね。他で言うと、女殺油地獄の樋口可南子さんとか。どうやら私はキツネ顔の女性が好きなようです。ちなみに女殺油地獄は優作さんもやってましたね。

■タイムテーブル
00:00 「野獣」後の新境地、清順の大正ロマン
01:07 シネマ・プラセット制作、浪漫三部作、海外意識?
03:48 起用背景、荒戸源次郎、東京タワー駐車場
05:48 あらすじ、泉鏡花原作、夢うつつな幻想譚
07:17 二つの苦悩、①鈴木清順の難解な演出、責められる大楠道代
09:57 ②家庭環境、妻子と愛人の板挟み
11:41 不本意な結果、再挑戦したい
13:16 文藝路線のはしり、過渡期からの新境地

■参考文献
映画芸術別冊№385 松田優作/映画芸術新社
越境者 松田優作/松田美智子
永遠の挑発/松田美智子
蘇える松田優作/大下英治
優作トーク/山口猛
松田優作 炎静に/山口猛
松田優作クロニクル/キネマ旬報社
松田優作全記録/キネマ旬報社
松田優作DVDマガジンVol.34/講談社
「陽炎座」パンフレット

■蘇える藤井克彦

・J-WAVE30周年×ゴジゲン10周年企画公演舞台「みみばしる」 優作役
・滝沢カレン一座第一回公演 「ふんだりけったり」ゴロンド役(主演)
・シイナナルミ「君のパンツを食べたい」
・女王蜂「BL」

7 Comments

  1. ■タイムテーブル

    00:00 「野獣」後の新境地、清順の大正ロマン

    01:07 シネマ・プラセット制作、浪漫三部作、海外意識?

    03:48 起用背景、荒戸源次郎、東京タワー駐車場

    05:48 あらすじ、泉鏡花原作、夢うつつな幻想譚

    07:17 二つの苦悩、①鈴木清順の難解な演出、責められる大楠道代

    09:57 ②家庭環境、妻子と愛人の板挟み

    11:41 不本意な結果、再挑戦したい

    13:16 文藝路線のはしり、過渡期からの新境地

  2. いつも動画楽しく拝見させて頂いてます。陽炎座の演出はかなり難解ですが、紐解くと『男女の愛憎の蟻地獄に堕ちた間男』というシンプルな内容ですね。まさに、取り憑かれたかのような松田優作さんの怪演凄まじいですよね。

  3. 陽炎座…何回か見ました。なんて言いますか何回も見ても難解…w鈴木清順って言う遊園地に踏み込んだものの私生活では問題があり相当苦しい思いをされましたよね…。今までアクションでドンパチしてて(動)だとしたら陽炎座(静)はと言いますかね。難解でもなんか不思議と見たくなる作品です…。印象的なのが昔なるほどザ・ワールドで愛川欽也と司会をしていた楠田枝里子が演技をしている所と僅か数分しか出てませんが内藤剛志が最後の方にいたのにはビックリしました😏内藤剛志は平成の頃からいた俳優だと思っていたので…。最も親子だから似てるのは当然と言えば当然ですが陽炎座の松田優作と息子の松田龍平同じ顔ですよね😅こんなにも似てるって…💦 遺伝ってスゴイ🌀 アップありがとうございました👍陽炎座の前の動画へのコメントもう少し時間をください😔それではまた❗

  4. 野生的なイメージを徹底的に排除した知的な優作さんでしたね。
    アクションではない優作さんの作品では好きな方です。ホント独特な日本の雰囲気がプンプンしてましたね。
    中村さんとかは歌舞伎の方でしたよね? ある種、歌舞伎にも通ずる様な雰囲気というか、大正ロマンというか…。
    当時、大学1年くらいの私には全く理解し難い内容でした。

    シネマは大阪では南港に来てました。以前にもコメントしましたが、その舞台挨拶の日のチケットを購入しましたが、優作さんは病欠で凄く残念だった記憶があります。

    その時だったかにA4サイズくらいの横開きの陽炎座の写真集?みたいな本を購入しました。特典でその映画のフィルムの一コマが付いていて、
    運良く私のフィルムは、汽車の中で優作さんが立ってるシーンの一コマでした。優作さん関係の本なので捨てる事はしないのですが、今は行方不明です。

    思い返せば離婚云々の話はその頃でしたね。
    家を出てマンションに住んでた優作さんを芸能レポーターがインターフォン越に恐る恐るインタビューしてたワイドショーを見ました。
    冷静に受け答えしてたのですが、レポーターが娘さんの話しを振った時、“それは関係ないだろ‼︎”って怒ってたのが凄く印象に残ってます。

  5. 恐れ入ります。
    なにせ、ほぼ40年前の事なので、記憶もあれなんですが、、、

    渋谷公会堂の向かい側、そうエッグマンの先の角を折れて、しばらく下るとある神社の敷地にドーム型のテントが出現しました。そこで「陽炎座」を観ました。当時の関係者の方のブログに詳細が記載されてますのでリンクを貼りますね。

    https://sayonarako.exblog.jp/948191/

    その時、前売り券を買って行ったのか当日券だったのか全く覚えておりません。申し訳ありません。

  6. 渋谷の〞仮設テント映画館〟で観ました、オイテケボリくらいました、そんな感想の映画でした。ツマラナクハナイケドオモシロクモナイエイガでした。

  7. 最近、再び観ました。
    なので動画作成から1年経過しているのにコメントしてすみません🙇
    最初に観た時は意味を考え、解釈しなきゃ!みたいになってましたが、今回は絵巻を観るように何も考えないで楽しみました。
    元々、優作さんはアクションスターを目指していたわけではなく、文学座出身で読書家で哲学的なので、私は個人的に文芸作品の優作さんが大好きです。
    藤井さんが仰るように、ストーリーは単純で恋した人妻に魂を捧げるべきか迷う。多分、最後に魂が体から抜けていくというだけ。
    鈴木清順監督の独特の観念と色彩、不可思議な演出。
    優作さんは上手く溶け込んでいると思うけど、自分に厳しい優作さんは苦悩したようですね。
    監督が遊ばせてくれたのに、砂場で…という表現も、そもそも文学的で観念的ですよね。
    同時期に現実の生活でも女性のことで揺れていた(妻と若い女優)。まだ幼い娘さんがいたので、父親を知らないで育った優作さんが離婚するというのは、相当苦悩して出した結論だったでしょうね。
    ふと考えたのは、もし当初の予定どおり、優作さんが日テレの学園ドラマでデビューしていたら…?ということでした。
    文学座の先輩の村野武範さんに紹介されて、プロデューサーと話し合い、村野さん主演のドラマの続編的番組に出演する予定だった(実際は文学座後輩の中村雅俊さんが主演した)。
    刑事ドラマの太陽にほえろでアクションシーン満載、台詞より動きが多いジーパン刑事ではなく、高校の教師として若い俳優と接する役がドラマデビューだったら…。
    実際、アメリカの高校に留学経験がある優作さんが、どのような高校教師を演じたか?その後はアクション主体でなく、精神性主体の作品に出演していたら…。
    演技も上手いアクション派でなく、アクションも出来る演技派松田優作とか呼ばれていたのか?
    話を戻すと、陽炎座は藤井さんが仰るとおり、優作さんの役者としての転機になったと思います。
    以後、それから 嵐が丘 華の乱
    ドラマでは夢千代日記
    文芸作品ではないけど、家族ゲーム ドラマの事件・ドクターストップなど、優作さんの演技力を十二分に発揮した作品を観ることが出来たのは、ラッキーなことでした。優作ファンだけでなく、映画ファンも早くから、松田優作は演技も素晴らしいと言われていたことが、広く証明されたこともよかった!
    ありがとうございました🙇

Leave A Reply