『いのち』 31話~35話 – Inochi ( 1986 ) Episode 31~35 English sub Full HD

『いのち』は、1986年1月5日から12月14日にNHKで放送された大河ドラマ第24作。主演は三田佳子。

概要
1984年(昭和59年)の『山河燃ゆ』、1985年(昭和60年)の『春の波涛』に続く「近代大河3部作」[1]の第3作。『山河燃ゆ』以降近代路線に転換してから視聴率的に苦戦していた大河ドラマの梃入れのため、『おんな太閤記』(1981年)『おしん』(1983年 – 1984年)で当時人気の実力派・橋田壽賀子を起用した。当初、NHKは司馬遼太郎原作の明治物の脚色を依頼していたが、オリジナルに拘る橋田が難色を示し、自らの戦後史に擬えての現代史となった。

時代設定は、終戦直後の昭和20年(1945年)から「放送当時の『現代』」である昭和60年(1985年)前後で、大河ドラマでは最も新しい時代を取り上げた作品[注 1]である。なお、昭和60年(1985年)の前作品『春の波涛』の最終話ラストのナレーションにおいて、主人公の貞奴について「戦後間もなく永眠した。」と語られており、時系列的にはそのまま前作から引き続く形になった[注 2]。主人公の岩田(旧姓:高原)未希は、作中のナレーション(昭和32年6月ごろに32歳の誕生日を迎えたなど)によると大正14年(1925年)の生まれであり、実在・架空の人物を問わない場合、これまでの大河ドラマの主人公(西暦2023年まで放送予定の作品も含む)としては最も新しい年代に生まれている。

歴史的人物・事件を主要な題材とする大河ドラマとしてはかなりの異色作で、当時の資料映像を除き、話を進行させる名前のある登場人物は全員架空の唯一の大河作品であり、実在の人物の名前が出たのはナレーションや登場人物の台詞でもマッカーサー、池田勇人(内閣総理大臣)などごくわずかである。しかし農地改革とこれに伴う地主の没落、高度経済成長下の農村、集団就職、オイルショック、核家族化など昭和20-50年代の社会的事象や事件は多数描かれており史実と無関係のドラマではない。

配役としては映画『Wの悲劇』などで、当時注目されていたベテラン女優の三田佳子を橋田の希望で主演に迎えた。その他についても、庶民派大河を意識した地味なキャスティングとなった。制作費の面では、例年に比べて出演者が少なく、過去の局資産も流用できるため、思い切って本建築の高原家セットを組むなど、バランスのとれた予算配分となった。

オープニング映像は水晶玉に光をあて光がうねるような描写と燃え盛る炎が交互に現れるという、物語を象徴するような激しくも幻想的な作りとなっている。そのバックには、ドラマ中の重要なシンボルである岩木山の眺望がかげろうのように浮かび上がる。

音楽は坂田晃一が『おんな太閤記』以来の再タッグとなった。のちに同じ橋田作品の『春日局』も担当し、橋田脚本の大河作品すべてを担当したことになる。

なお、全大河ドラマ中でタイトルがすべて平仮名だけで表記されているのは本作のみである。

平均視聴率は29.3%、最高視聴率は36.7%[2]。1984年度の『山河燃ゆ』から続いた「近代大河3部作」中では平均視聴率が一番高かった。しかし「近代大河3部作」1作目の『山河燃ゆ』は評判が悪く、続く『春の波涛』では著作権侵害事件が起き、また何れも視聴率が低かったため、今作はヒットしたものの、これ以降近現代シリーズは企画を見合わせることとなった。

その後、大河ドラマで近現代、特に昭和以降が舞台となる作品は2019年に『いだてん〜東京オリムピック噺〜』[3]が放送されるまで33年もの間途絶えた[4]。これにより、大河ドラマはあくる1987年の『独眼竜政宗』以後再び、一時期「水曜時代劇枠(水曜20時)」に「新大型時代劇」[注 3]として移動していた史実重視の時代劇路線に戻ることになった。

2006年12月から1年間、CS放送「ホームドラマチャンネル」で再放送した[5]。

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