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薬師丸ひろ子の俳優業再開の裏側とは？
今年60歳の還暦を迎えた薬師丸ひろ子。彼女の女優人生には、数々の転機があった。

中学2年生の時、映画『野性の証明』（1978年）で角川春樹事務所から専属俳優としてデビュー。その後、映画『セーラー服と機関銃』（1981年）で主演を果たし、大学受験のために1年間の休業を決断するという異例の選択をした。そして復帰後は、フリーランスとして新たな道を歩むことに。

玉川大学に進学後、復帰作『探偵物語』（1983年、根岸吉太郎監督）は松田優作との共演も話題となり、彼女の主演映画としては最高の配給収入28億円を記録。その翌年、1984年には『Wの悲劇』（澤井信一郎監督）が公開され、高い評価を受け、ブルーリボン主演女優賞を受賞。授賞式で彼女は「20歳を過ぎましたし、そろそろただのアイドルではなく、いろんな傾向の作品に挑戦して、芸域を広げたい。そのためにもフリーになりたいんです」と宣言し、1985年3月26日には角川春樹事務所を離れた。

薬師丸の独立をめぐっては、各芸能事務所が激しい争奪戦を繰り広げ、契約金は2億円にまでつり上がったとされるが、彼女は個人事務所を設立し、完全にフリーランスとしての道を選んだ。

角川春樹からは「いつ辞めてもいい。でももったいないぞ」と言われ続けていたが、20歳の時には「もったいなくない」と感じるようになった。松任谷由実の苗場でのコンサートに参加し、足を折ってもかまわないと存分にスキーを楽しんだことで心が解放され、「人に泣けと言われて泣く人生はやめにしよう。泣きたいときに泣いてやる」と決意し、角川には辞める旨を伝えた。角川は「わかった。でも、もったいないぞ」と言い、「やりたくなったら、またいつでも始めろよ」と送り出してくれた。

大学卒業後、就職活動を考えたものの、結果的に俳優を続けることになったのは、引退の噂で心が折れたからだという。

独立後は、映画に毎年1～2作出演し続けたが、1993年の『ナースコール』公開後、2004年までの10年間は2作にとどまる。この間、1996年にはミュージカル『雨に唄えば』で初舞台を踏み、翌年にはドラマ『ミセスシンデレラ』で連続ドラマ初主演を果たし、テレビドラマにも本格的に進出した。

順風満帆ではなかった時期もあり、30代の頃にはニューヨークでカウンセラーに「自分がなぜこの仕事をしているのかわからない」と悩みを打ち明けたところ、「もしこの仕事が嫌いだったら、とっくに辞めている」と言われ、その言葉が後の彼女を突き動かした。

40代に差しかかった頃、ニューヨークで「リユニオン」だと告げられ、年齢を重ねることで「お母さんを演じることに抵抗がなくなる」と言われた。この言葉通り、2005年から2006年にかけて映画『レイクサイド　マーダーケース』『鉄人28号』『オペレッタ狸御殿』『ALWAYS 三丁目の夕日』『あおげば尊し』に出演し、主に母親役を演じた。

また、ドラマ『1リットルの涙』『ウメ子』でもヒロインの母親役を演じ、初めて仕事を掛け持ちした。『ウメ子』では村上茉愛がヒロインを演じた。

ドラマ『木更津キャッツアイ』で出会った脚本家宮藤官九郎とはその後もたびたび共演し、NHK連続テレビ小説『あまちゃん』では鈴鹿ひろ美を演じた。ひろ美が音痴で、80年代に彼女が歌ったヒット曲「潮騒のメモリー」は、春子が覆面歌手としてレコーディングしたものであった。ドラマの終盤、ひろ美が東日本大震災で被災した北三陸でコンサートを開く際には、音痴を克服し見事な歌声を披露した。

60歳の節目の年には、初のフルオーケストラによるコンサートを東京・兵庫で開催し、さらに9月から12月まで全国14都市でコンサートツアーを行う予定である。俳優業と並行して歌手活動も継続し、その重要性を示している。

薬師丸は20歳の誕生日に初のコンサートを開催し、角川映画の人気絶頂時代から現在に至るまで、自らの意志でキャリアを築き続けてきた。その独立と決断は、今でも多くの人々に感銘を与えている。
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