【OHHO 019】菊池桃子さん「桃子ちゃんとは呼ばない(1)林哲司さん編」

桃子ちゃんとは呼ばない
1林哲史さん編
2020年8月20日
[音楽]
林哲史さんの歌謡曲という本をご存知だろうか
菊池桃子さんのファンなら知っている人も多いだろうが僕もかなり前から知っていた
どこで知ったかというと奈良市立図書館
北部会館の音楽コーナーの棚
そこで黒い表紙に歌謡曲という文字が浮かび上がる本を見つけた
それが林哲史さんが書いた歌謡曲という本だった
音楽之友社2004年1月5日発行
発行が2004年なので
ソロシンガー菊池桃子さんはもうおらず
その後バンドを組んだラムーのボーカル
菊池さんの活動も終わって10年以上が経ってから出版された本になる
その本の中に菊池さんに関する章がある
きらめくだけのアイドルではなく
菊池桃子
卒業
火曜曲
林哲司山頂
以下同と表記
175から181ページ
175ページから181ページまでのたった7ページだけだけど
そこに書かれている菊池さんは
林さんしか書けないソロシンガー菊池桃子として貴重な記録になっている
例えば林さんは菊池さんとの出会いを次のように書いている
桃子と出会ったのは
杉山清貴&オメガトライブのレコーディングをやっていたスタジオだった
確か彼女はまだ中学の2年か3年生だったと思う
見るからにおとなしそうな女の子だった
どう175から176頁より
そしてこう続ける
コントロールルームのソファに座り興味深そうにガラス越しのレコーディングを眺めて
いるのだがその可憐なセーラー服姿はどこか場違いな雰囲気さえ漂っていた
普通の女の子に戻りたいと言って解散したのはキャンディーズだったがこのまま普通の
女の子でいて欲しいと思ったのが
彼女に対する初印象だった
音楽業界いや芸能界で活動するにはあまりにも純真無垢なイメージを
その時感じたからかもしれない
どう176頁より
林さんは菊池さんに好印象というか逆に芸能界には合っていないのではないかという
ような印象を抱いておられたようだ
しかしそんな林さんは菊池さんに楽曲を提供することになる
林さんは菊池さんとタッグを組むまでアイドルというものに対して抵抗感を持っておら
れた
アイドルをやりたくなかったのはアイドルの存在は認めつつもその音楽が好きでは
なかったからだ
かわいいかっこいいという別の価値観があるわけだから
歌の上手い下手は脇に置いたとしても歌われる曲そのものが好きではなかった
しばらくの間ずっと踏襲されてきた
アイドルの王道は単純で起伏のないメロディ
煽るようなアップテンポメロディーとメロディーの隙間をオブリガートで埋め尽くした
きらびやかなアレンジ多用されるリズムの決めブレーク
党などどれをとっても自分の音楽には取り入れたくない要素
ばかり
それが歌の技量の無さを隠しステージでの華やかな振りを演出するためという前提で
成り立っていることは明白であっても嫌だった
どう177ページより
林さんが全曲の作編曲を担当された
菊池さんのファーストアルバムオーシャンサイドを僕が初めて聴いた時の印象は次の
ようなものだった
それから
オーシャンサイドの感想を書かなかったのは
聞いてあんまり僕にとっては独禁ことしなかったからなのね
お子第10号41ページ桃子ちゃんに住まないより
僕がそう感じたのはもしかすると林さんが指摘する
アイドルの王道であるきらびやかなアレンジなどがオーシャンサイドには全く含まれて
いなかったからかもしれない
林さんは菊池さんの歌唱に対してはこう述べている
桃子に歌唱力があったわけではない
表現力もそれほどあったわけではない
でも声に色があった
星稜はなかったが色彩感はあった
それは単色で彼女そのものだった
どう178頁より
林さんはそんな菊地さんの楽曲の作曲を担当することになる
ソロ心が菊池桃子の最後のシングル曲
ガラスの草原を除けばシングル曲は編曲もすべて林さんが担当してくださっている
林さんは菊池さんにどのような楽曲を提供し続けたのであろうか
アイドルを手掛けることに抵抗感がなかったわけではない
どう176頁より
土間で解雇されている林さんは次のような音作りを
アイドルである菊池桃子さんにされていたという
さて作曲担当の自分はといえば分かりやすさを要求されるシングルは別としても
アルバムにはそれこそポップス系
ソウル系アーティストが歌っても遜色ないような作品を平然と書き加えた
アイドルだからといって24時間微笑んでいるわけはないだろう
それがその当時の僕の口癖だった
どちらかと言えば虚飾のドレスを脱ぎ捨て一人の女の子に戻った部分をメロディーに
するのが僕の仕事だった
どう179ページより
そしてこうつづけられる
とにかく書きなぐった
どんどんアイディアが出てきた
シングル曲以外はスタジオでミュージシャンたちが音を出すまでは誰も知らない
音作りに関しては僕の独壇場だった
どう179ページより
菊池さんの楽曲が今ももしかすると外国の人にも聴いてもらえていて youtube
でコメントを書いてもらえているのは林さんがアルバムにはそれこそポップス系
ソウル系アーティストが歌っても遜色ないような作品を平然と書き加えたからだろう
そしてそれは今から36年前の1984年9月10日1st アルバムとして発売され

オーシャンサイドが発売の1週目にはオリコン発表で12位だったものが
2周目では1位に躍り出る海峡成し遂げたことからも分かる
菊池桃子さんの楽曲は最初からアイドルの楽曲ではなかったのだ
[音楽]
アイドルではなかったソロシンガー菊池桃子について
林さんは別の方向からもこのように記録してくれている
それはアルバムのジャケットや振り付けや菓子の単語について
1位に輝いたそのアルバムのジャケットにももこの笑顔はない
託麻中
そのアルバムとは1st アルバムオーシャンサイドのこと
はるか水平線を望み澄み切った青い海に仰向けに浮かぶ彼女の姿
写真だけ見ればそれが菊池桃子だとは誰も気づかない
それはプロデューサー藤田紘一氏のコンセプトだった
普段洋楽を聴く大学生でも恥ずかしがらずに
小脇に抱えられるアイドルのアルバム
レコード店の壁を飾るアイドルのお約束ともいえる
にこっぱち
にっこりした笑顔をパチリと撮った写真
のジャケットにはしたくないという市のこだわりだった
菊池桃子とはそうした観衆に対するアンチテーゼを掲げてプロデューサーが中心になっ
て作り上げたプロジェクトだった
どう178頁より
[音楽]
振り付けや歌詞については次のところ
テレビの音楽番組ではつまらないふりをつけて歌わない
その代わりコンサートでは思いっきりショウアップしたステージをファンに見せる
アルバムは単に寄せ集めの楽曲集ではなく
テーマやコンセプトをもとに作る
歌詞に帰すという文字は使わない
等など今までのアイドルシーンで僕らが嫌だと思っていた要素はことごとく排除して
いった
どう179ページより
この林さんや藤田光一さんが作り上げた
菊池桃子というプロジェクトに僕はまんまと釣り上げられたわけだ
しかしそれは不愉快な釣り上げられ方ではなく
釣り上げてくれてありがとうというお魚さんには考えられない気持ちだっただろう
このような菊池桃子というプロジェクト
菊池さんのデビュー時にしてくれたお陰で今の菊池さんがあると言える
それは決して過言ではないと思う
林さんは菊池さんのこのような場面も記録してくれている
桃子は過去のアイドル音楽に比べれば
複雑なメロディーの運びを何度もなぞり
シンコペーションのリズムをつかみ16ビートのグルーヴを体で受け止めながら
レコーディングをこなしていった
どう179ページより
次のところからだ
スタジオでた廊下の片隅で人知れず泣いている彼女
一度だけ見たことがある
どう179ページより
何度も繰り返されるフレーズのリテイクに耐え切れずこぼした涙は数知れないだろう
でも彼女は最後には僕のメロディーを自分の色に変えていった
どう179から180ページより
レコーディングの時泣いていたという記述は菊池桃子さん自身の本にも書かれている
午後には陽のあたる場所
以下後も誤表記
菊池桃子さん著扶桑社2015年12月17日発行
アイドル時代の思い出で今でも夢に見て日汗をかいておきたり泣きながら目覚める場面
があります
それはレコーディングスタジオの風景です
午後66ページスタジオから逃げ出すの章より
続けます
私は怒られてばかりいました
当時の音楽プロデューサーからはできない奴はいらないとか本気でやっているのかと
叱咤されたり
こんな風に歌ってみろと言われた通りに再現できないと机をひっくり返さんばかりの
勢いで怒られたのです
午後66ページより
今日の桃子の調子が悪いから中止にしようか
新曲の発売日はすでに決まっていて
何が何でも発売中止や延期はできないことがレコーディングスタジオにいるスタッフ
全員のこわばった表情からも伺えました
とりあえず小休憩
そう言われてもどうしたらいいか分からなかった私はマネジャーに
一人で外の空気を吸ってきます
といい外に出してもらいました
午後66から67ページより
泣いているという記述は次のところにあります
多分林さんはそのような場面を目撃したのでしょう
しかし菊池さんの本は泣いている場面の後にある出来事があったことを書き残してくれ
ています
ずっと泣いていたのですれ違う人に泣き顔を見られるのが嫌で顔を上げず下を見ながら
歩きました
東京タワーの近くにあるスタジオでて坂を下り
歩き続けていると気付いた時には公園に来ていました
スタジオに戻りたくないなと途方に暮れていた時
男の人に声をかけられました
午後67ページより
顔を上げると制服を着た景観です
確か高校の制服のまましゃくりあげながら歩いていたので変な犯罪に巻き込まれたので
はないかと心配したようでした
何かあったの
女性の景観を選んだほうがいい
いいえ大丈夫です
仕事がうまくいかなくて叱られたんです
その後スタジオにいるマネジャーに連絡が入ったり自宅にも連絡が入ったりしましたが
警察としては状況が状況なので保護者の方にしか引き渡せません
ということで私は親が迎えに来るまで
交番にかくまわれてしまったのです
午後67から68ページより
林さんの本だけではわからないとんでもエピソードがあったのですね
この出来事を記述している菊池さんの本の内容についてはもう少し別のことで付け足し
たいことがあるのでいつか登場させたいと思います
この菊池さんの本いろいろ思うことがある人は泣けます
それはアイドル時代のことを菊地さんが書いているところではないのですが
ソロシンガー菊池桃子の最後の作品
ガラスの草原が菊池さんに作曲した林さんの最後のシングル曲になります
渕さんはその後ラムーというバンドのボーカリストとして活動していきます
ラムーというバンド林さんの本ではユニットと書かれています
が結成されることが決まってから間もないこの
林さんは菊池さんと菊池さんの当時のプロデューサーであった藤田光一さんと会食をさ
れたようです
この中の2020年ならアクリル板を挟んでの会食だったでしょうけど
その時のことも林さんは記録してくれています
彼女とプロデューサーの藤田紘一氏と僕との3人だけの会食は
両乳中チすぎてそんなに話が弾んだわけではなかったが
マネージャーが付き添わない桃子は初めてだった
ロー180ページより
ほんといっぱいいい曲を書いてくださってありがとうございました
僕らの前ではもともと口数が少ない彼女だったが
そんな改まったセリフを聞くとこれが僕らの送別会なのだということを嫌でも意識させ
られた
僕らは家のようにすぎた3年間を振り返り
それぞれの苦労懐かしさに変えていった
どう180ページより
この林さんの歌謡曲という本の中にある
菊池さんの章を読んで思うのは
林哲史さん菊池桃子さんの全曲を担当してくださってありがとうございました
その気持ちしかない
口さんはいろいろ苦労したらしいけれど今もきちんとソロシンガー
菊池桃子の楽曲が残っているのは林さんやスタッフの人たちの陰の努力を抜いては考え
られない
そしてその楽曲を僕らが聴けるようにしてくれたことをはやしさんや
今はもう亡くなられている藤田さんをはじめスタッフの皆様そして菊池さんを含めた
プロジェクト
菊池桃子に携わって下さった人たちに感謝するしかない
[音楽]
今までアップしてきた菊池桃子さんに関する youtube 動画の本当の締めとし
てこの文章を書いたのですがまだ書いてないことがあることに気づきました
なので姓を変えてという感じで
ここまでの文章は1林哲史さん編ということにしたいと思います
書きたいことはあと2つ残っていて今のところを持っているのはよしもとばななさん編
ともう一つは菊池桃子さん編です
よしもとばななさん編とはそうです
お子第14号の特集菊池桃子を残すで池田飛呂彦さんがファーストアルバム
オーシャンサイドのところで書いていることについてです
その書いていることとはもうここで先に書いてしまいますが
吉本さんが書かれた本キッチンについてです
そのキッチンの中でオーシャンサイドのある曲が使われているのですがその事を昨日
検索して調べると吉本さんのツイッターで思わぬ展開がされていました
キッチンが刊行された当時その本を池田さんから借りて僕も呼んだと思うのですが
まさか昨年2019年になって書かれた本人である吉本さんがそんな展開をされるとは
という話なのです
その前に思い出を思い出すのではなくしっかり事実を確認するためにもう一度
キッチンを読み返すことから始めます
なので続きはもうちょっと後になります
といっても次があるかは通常の仕事の混み具合にもよりますがとりあえず
続きはにのところで
[音楽]

2020年8月20日作成。
「OHHO」未掲載、新作。

●BGMは、もっぴーさうんどさんの「雨雫」を使用。
フリーBGM素材「雨雫」by もっぴーさうんどさん
https://dova-s.jp/bgm/play10803.html
(もっぴーさうんどさん、いつも素敵な音楽をありがとうございます)

●「OHHO」の本は一部、バックナンバーを電子書籍やオンデマンド本(紙の本)で販売しています。
電子書籍は、Amazon Kindle Unlimited なら無料で読めます。

「創刊号・第2号」(税込726円)
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その他の本は、チャンネルの概要欄をご覧ください。

●文章を読み上げている声は、音声読み上げソフトの「音読さん」を使用。無料で試していたのですが、制限文字量を超えたので、ベーシックプラン 月980円を購入しました。ちなみにこの音声は、アナウンサー(B)の速度が×1、高低差が-5.1で設定したものです。 へんななまりが、たくさんありますが、今の私の力ではここまでの仕上がりにするのが精一杯でした。

●NHK-FM 歌謡スクランブル
菊池桃子特集
2020年7月9日午後1時〜
https://www2.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2020-07-09&ch=07&eid=71175&f=444

#OHHO 第14号
#NHK-FM 歌謡スクランブル菊池桃子特集放送記念

2 Comments

  1. 思わず聴き入ってしまいました。『午後には日の当たる場所』をもう1回読みたくなりました>^_^<ありがとうございます。

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