師匠シリーズ第八十九話『連想I』2/3

[音楽] ハウンド頼りなくまいている明りの下最初 の曲がり角を超えると土蔵の入り口が見え たそろそろと歩みより小さな鉄線の扉を 手前に 引く耳障りな音がして同時に真っ暗な扉の 奥からどこか生ぬるいような空気が漏れ出 て くる扉は狭くそれほど大柄でもないまなで も身をかめないと入ることができ ないまなみは体を半分だけ扉の中に入れ腕 を回り込ませて壁際を 探る白熱刀の光が暗かった土蔵の中に 広がっ たほっと人心地が つくもはやそれを手に取るアジのいない 骨董品やコミ具の類いが地方の壁に並べ られた棚やタスの上にひっそりと置かれて いる本当に値打ちのあるものは終戦の前後 に処分したと聞いているので今残っている のはそれを代々受け継いできた自分たちの 一族にしか価値のないもののはずだっ たまなは懐から写真を 取り出すご丁寧にも叔父が段の望が紹介 雑誌の切り抜きを送ってきたのだっ たそれと見比べながら壺などが並べられて いる一角を往復しているとどうやらこの ことらしいというものを見つけることが でき たなるほど形や色合は確かに似ている しかし手に取ってみるとやけに軽く まじまじと表面を眺めると雑作も安っぽく 思われ たやはり叔父の思い違いだそう思うと少し 楽しくなっ たチボを片手に唯一の出入口へ 向かう狭い扉をなんとかくぐると一瞬心の 中が冷えた気がし た通路の白熱塔が切れて いるしくに囲まれた道の先が闇に飲まれる ように見通せなくなって いる消そうとした土蔵の中の明りはつけた ままにしたがそれでも小さな扉から漏れて る光はあまりにかかっ た嫌 だここが地の底なのだということを 思い出してしまっ たこんな時のために土蔵の中に懐中電灯を 置いてなかっただろう か振り返って探しに戻ろうかと思ったが 面倒な気がしてやめ た高々10m程度の通路だ障害物もない 一本道だし自分ももう子供ではないのだ からをそんなに怖がることがある だろう我知らず自分にそう言い聞かせまな

はチボを胸に抱えて進み始め た静か だ耳の奥に静寂がかん高い音を立てて いるほんの数メート歩くと曲がり角があっ たそこを右に曲がると今度はすぐに左へ 折れるそこから先は直進するだけで元の 入り口 だ けれどそっと覗いたその先は光の届かない 真っ暗闇だっ たぞくりと肌が 泡立つ口元がばりそうになるのを必死で 抑えなるべく自然な包丁で前へ進ん だ左手を壁に沿わせながらまっすぐ になんてことはないなんてことは ない暗くったって大丈夫 ほらすぐに元の入り口 だ ドシ えぶつかった誰か に 嘘全身に寒気が走っ た暗くて何も見え ないそこに誰がいるのかもわから ない気配だけが通りすぎて いく土蔵の方へ向かっているよう だまなはその場に根を張りそうだった足を したして小走に入り口の階段の下まで進ん だそこまで来ると頭上からカカな明りが 漏れてきてい たチボを抱えたまま階段を登りようやく物 部屋まで戻ってき たここもまだ地下なのだと思うと後ろも 振り返らずに部屋を横断して1回上がる 階段をけけっ た階段を上がった先にある今では父と母が テーブルを囲んでお茶を飲んでいたおあっ たかお宝がこちらを見ながら呑気そうに父 がそう言っ たねここ今誰か降りてっ たまなが早口にそう聞くと父と母は減そう な顔をしてかりを振っ たこ は聞ことしたが隣の部屋からテレビの音と ともにその妹の笑い声が聞こえてき たお感が する家政府のちず子さんは今日は来ない日 だそして祖母は風を引いて昨日から入院中 だっ たいつものことで大した風ではないのだ がではさっき地下の通路でぶつかったのは 誰なの かちょっと気持ち悪悪こと言わないで よ母が頬を引きつらせながら無理に笑っ た泥棒

か父が景色晩で椅子から立ち上がろうとし たが母が困ったように半笑いをしながら それを 痛めるちょっとお父さんも私たちずっと ここにいたじゃ ないそうして地下の物置きへ降りる階段を [音楽] 指さすそうだ物木には他に出入り口はない 父と母がずっといたこの今から しかその2人が見ていないのだ誰も降り られたはずは ないではさっき暗闇の中でぶつかったのは 誰なの だ謝って壁にぶつかったのでは ない壁にはしっかりと左手をついて歩いて いたのだ から震えてしゃがみ込んだまなの背中を母 がさすり父は騒ぎを聞きつけて今にやって きた高子と2人で懐中電灯を手に地下に 降りて行っ た結局こ1時間ほど地下の物置きと通路 そしてその先の土蔵をしらみつぶしに探索 したが異変は何も見つからなかっ た家族以外の誰かがいたような痕跡 も最後に地下通路の白熱島の玉を交換して きた父が疲れたような表情で今に戻って くると家族4人がテーブルに顔を 付き合わせて座っ たそして注目に耐えられなくなったように 妹の高子が口を開い た実は私もぶつかったこと ある驚いたさっき起きたことと全く同じ ような出来事が2年ほど前にあったという の だ妹の場合は何の前ぶれもなく地下の明り が消え手探りで通路を引き返そうとしたら 体の知れない何かに肩が触れたのだ とさらに驚いたことにそれから父と母も 気持ちが悪そうにしながらそれぞれ似た 体験をした話を続けた数年前の話 だみんな気のせいだと思い込むようにして いたのだったそんなことがあるわけはない としかしこうして家族が誰も同じ体験をし ていると知った今ただの気のせいで住む はずはなかったお祓いしてもらった方が いい かしら母がおずおずとそ切り出すと父が何 をバカなと怒りかけしかしその勢いも あっさりとしぼん だみんな自分の身に起きた体験を思い出し 背筋を冷たくさせてい たそんな中妹の高子がぽつりと言っ たおじいちゃんじゃないか なえいやだからあそこにいたのおじい ちゃんじゃないか

な地下の暗闇の中でぶつかったのは15年 前に死んだ祖父ではないかというの だその言葉を聞いた瞬間父と母の顔が 明るくなったそのくせ口調はしんみりとし ながらそうねおじいちゃんかもしれないわ ねそうか親父かもしれないな 親父は土蔵の主だったからなと頷き合って いる確かに祖父はあの土蔵が第2の家だと 言っても過言ではないほどそこへ入り浸っ ていたし死んだ後は自分の骨もそこへ葬っ てくれと願ったの だそして実際に遺骨の一部は小さなコツに 収められて土蔵の隅に眠って いるおじいちゃん かまなもそう呟いてみるシだらけの 懐かしい顔がノりに浮かん だそしてソフトの思い出の断片がさらさら と自然に蘇って くるおじい ちゃんたか子が涙ぐみながら笑っ た幽霊を恐ろしいと思う気持ちより 優しかった祖父の魂が今もそこにいるのだ と思う柔らかな気持ちの方がまさっていた のだっ たさっきまでの凍りついたような空気が ほんのりと温かくなった気がし た しかし即の思い出を語り始めた父と母と妹 を知りにまなは自分の中に蘇った奇妙な 記憶に意識を囚われてい たあれはまながまだ小学校に上がった ばかりの 頃いつものように祖父に本を読んで もらおうとあの薄暗い地下の道を通って 土蔵へやってきた時のこと だ机に向かって顧紋所のようなものを熱心 に読んでいた祖父がまなみに気づいて顔を 上げたそして手招きをして可愛い孫を膝の 上に座らせ癒すように体をゆりながら ぽつりと言っ た誰かにぶつからなかったか い幼いまなは祖父の顔を見上げそこに 不可解な表情を見 た頬は緩んで笑っているのに目は凍りつい たように見開かれている ぶつかるって誰 にまなみはこわごわとそう聞き返し た祖父は孫を見下ろしながら薄い氷を吐く ようにそっと囁い た誰だかわからない誰かにだ よオイルランプの明りに照らされかな子 さんの顔が闇の中に浮かんで いる黒い破壊の上に腰かけたまま足を ブラブラと前後に揺らし ながらそれでまなさんは我が小川調査事務

所に依頼したわけだ人にお化けの専門家が いるって聞いてどんな依頼なん です調査に決まってるだろうその誰だか 分からない誰かが誰なのかってことを だかな子さんは背後の木箱の中から黒い 厚手の布を取り出しランプの上にかせ たその瞬間辺りが完全な暗闇に覆わ れる締め切られたガレージの中は夜の中に 作られた夜のよう だうろに声だけが 響く昔の飛行機のりはファントムロックっ てやつを恐れたらしい機体が雲の中に入る と一気に視界が効かなくなるでも初戦雲は 微小な水滴の塊 だその中で何かにぶつかることなんてない ないはずなのに怖いんだ見えないってこと は白い闇の中で目に見えない一寸先に自分 と愛の命を奪う危険な物体が浮かんでいる のではないかその想像が熟練の飛行機のり たちの心を苛むんだその雲の中にある何か がファントムロックつまり幻の岩だ自転車 に乗っていて目をつったことがあるかい 見通しのいい一本道で前から人も車も何も やってきていない状態で自転車をこぎ ながら目を閉じるんださっきまで見えてい た風景から想像できる数秒後の 道絶対に何にもぶつかることはない ぶつかることなんてないはずなのに目を 閉じたままではいられない必ず恐怖心が目 を開け させる人間は闇の中に幻の岩を無双する 生き物なんだ くくっと笑うような声が僕の前方から漏れ て くるではその旧家の地下に伸びる古い水道 で起きた出来事は一体何だったのだろう ね師匠は光の失われたガレージの中でその 依頼の顛末を語っ たまなさんはそんなことがあった後地下 通路でぶつかったのは死んだ祖父なのだと 結論付けた他の家族に祖父自身もそれを 体験したらしいということを告げずにい たそして自分以外の家族が旅行などで全員 家から出払う日を選んで小川調査事務所の お化けの専門家である師匠を呼んだの だここで言うお化けとはこの界隈の更新所 業界の陰語であり不可解で無茶な依頼内容 を馬鹿にした表現なのだが師匠はその故障 を楽しんでいる風だったまなさんからもお 化けの専門家だと伺いましたがと言われ 苦笑したと いうともあれ師匠はまなさんの導きで本沢 の地下の物置きから地下通路に入りその奥 の土蔵に潜入し たその間何か異様な気配を感じたそうだが

何者かの姿を見ることはなかっ た土蔵には代々家に伝わる顧問所の類いや まなさんの祖父がそれに関して綴った文章 が残されてい た今の家族には読めるものがいないという その江戸時代の顧問所師匠は片っ端から 呼んでいっ たかつてそうしていたというまなさんの 祖父に習い1人で土蔵にこもり食材の明り だけを頼りに本を紐解いていったの だそしてその作業に丸人晩を費やして次の 日まなさんを呼ん だ [音楽] H

#師匠シリーズ #朗読 #読み聞かせ
ウニ 作
阿礼・響吽 読

※この作品は、作者のウニ様に許可をいただき、朗読させていただいております。

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